先に結論を言っておきます。
今日、私は何も買えませんでした。
そのかわり、何も失いませんでした。
ただ、むちゃむちゃ疲れました。
そういう一日の記録です。
■ 第1章 画像の蛇口が止まった
前回書いたとおり、いま私は、ChatGPTという絵の得意なAIに、
ブログのアイキャッチ画像を作ってもらっています。
無料版で、順調に量産していたのですが、
昨日の夜、突然こう言われました。
「無料プランの上限に達しました。
あと17時間40分お待ちください」
画像の蛇口が、止まったのです。
17時間40分。妙に細かい数字です。
カップラーメンの3分は待てますが、17時間40分は長い。
蛇口の下でバケツを持ったまま、私は考えました。
■ 第2章 絶妙なタイミングの、うまい話
すると画面に、こんな案内が出てきました。
「Plusを1か月無料で試しませんか」
有料版が、最初の1か月はタダ。
2か月目からは月3,000円。いつでもキャンセルできます、と。
蛇口が止まった客に、すかさず
「店の奥に、太い蛇口がございますよ」と声をかけてくる。
商売がうまい。
うちのジーニー(文章の得意なほうのAI)に相談したら、
こう言われました。
「危険はひとつだけです。解約を忘れると、
9月から3,000円の請求が始まります。
なので、契約したその日のうちに解約手続きをしておくのです。
それでも無料期間の終わりまでは使えます」
もらうものはもらって、罠だけ先に外しておく。
よし、その作戦でいこう。
私は意気揚々と、申し込み画面に進みました。
■ 第3章 0円が、払えない
申し込み画面には、こう書いてありました。
「本日のお支払額 ¥0」
0円です。タダです。
カードの情報を入れて、登録ボタンを押しました。
すると、赤い帯が出ました。
「カードが拒否されました。」
……はい?
私は、0円の支払いを断られたのです。
タダのものが買えない。
69年生きてきて、初めての経験です。
先に大事なことを書いておきますと、
この「拒否されました」の段階では、
お金は1円も動いていません。
入口で止められただけで、被害はゼロです。
同じ画面が出た方は、まずそこは安心してください。
■ 第4章 容疑者は、次々にシロになった
ジーニーと一緒に、犯人探しが始まりました。
容疑者その1。カード会社の見張り番。
海外のネット決済は、カード会社の不正防止の仕組みが
「本人か怪しい」と止めることがあるそうです。
でも、それならカード会社から「ご本人ですか?」の
確認の連絡が来るはず。メールも通知も、来ていません。
シロ。
容疑者その2。カードの利用枠。
アプリで確認したら、枠はまだ23万円残っていました。
0円の買い物で枠が足りないなら、日本経済はおしまいです。
シロ。
容疑者その3。古いカード情報。
カードの番号と期限を、手元のカードを見ながら
全部入れ直しました。
それでも、拒否。
……容疑者が全員シロなのに、事件だけが残っている。
サスペンスドラマなら、ここで意外な犯人が出てくる場面ですが、
現実は、出てきませんでした。
■ 第5章 電話の迷路で1時間
こうなったら、カード会社に直接聞くしかありません。
問い合わせの電話番号にかけました。
音声ガイダンスが流れます。
「カード会員の方は1を」…… 1を押す。
「お問い合わせページのURLをSMSで」…… いや、話がしたいんです。
「〇〇の方は2を」「〇〇の方は3を」…… 押す。押す。
進んでも進んでも、番号の分かれ道。
そして、さんざん歩かされた先で、
「ホームページをご覧ください」と案内されて、
迂回、また迂回。
私は元自衛官です。
地図とコンパスがあれば、山の中でも目的地に着けます。
でも、電話の迷路には、地図がありませんでした。
1時間がんばって、
オペレーターという生き物には、
ついに、お目にかかれませんでした。
いまの世の中、最後の最後まで行っても
人間につながらない仕組みになっているんですね。
受話器を置いて、心の中で叫びました。
「楽天カードのバカヤロー!」
……半分は、冗談です。
もう半分は、疲労です。
冷静に考えれば、楽天カードが悪いのか、
海のむこうの決済の仕組みが悪いのか、
それとも誰も悪くないのか、まだ分かっていないのです。
犯人不明のまま叫ぶバカヤローほど、
むなしいものはありません。
■ 第6章 撤収命令
別のカードでも試しましたが、これもダメ。
(あとで知ったのですが、私のもう1枚は日本生まれのブランドで、
海外の決済では、そもそも門前払いされやすいそうです)
ここで、ジーニーから撤収命令が出ました。
「今日はもうやめましょう。
何度も続けて失敗すると、決済の門番がどんどん警戒して、
正しいカードでも通さなくなります。
押せば押すほど、逆効果です」
なるほど。ピンポンを連打すると、
かえって出てもらえないのと同じですね。
そしてジーニーは、こう続けました。
「それに、思い出してください。
無料版の蛇口は、明日の朝5時半に復活します」
……あ。
そうでした。17時間40分待てば、
タダの蛇口が、また開くのでした。
太い蛇口に気を取られて、
自分のバケツのことを忘れていました。
■ おわりに
今日の戦果をまとめます。
・買えたもの:なし
・失ったもの:なし(お金は1円も動いていません)
・得たもの:疲労と、教訓が3つ
教訓その1。
「カードが拒否されました」が出ても、慌てない。
その時点では、被害はゼロです。
教訓その2。
ダメなときに連打しない。
門番の機嫌は、日を改めると直っていることがあります。
教訓その3。
うまい話に飛びつく前に、
「そもそも無料で足りてないか?」を思い出す。
AIのアドバイスというと、
「こうすればできます」ばかりだと思われがちですが、
今日いちばん効いたのは、
「今日はもう、やめましょう」
でした。
やめ時を教えてくれるのも、立派なアドバイスです。
明日の朝、蛇口が開いたら、
また無料で、コツコツ看板を作ります。
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