「これ、どうしたらいい?」の一言から、五時間が消えた日 ― 69歳とブログの赤い警告

69歳の直ちゃんです。

朝、ブログにコメントの返信をしようとしたら、画面の上に赤い枠が出ていました。

「Akismet エラーコード: 10010」

正直に言います。この数字を見て、私が最初に思ったのは「10010円、請求されるのか?」でした。

そんなわけはないのですが、69歳の頭というのは、数字を見るとすぐお金に変換する仕組みになっているようです。

とりあえずジーニー(私が相棒にしているAIです)に、画面のスクショを送って、こう聞きました。

「これ、どうしたらいい?」

たった八文字です。まさかこの八文字が、五時間コースの入口だとは思いませんでした。

■ 犯人は「無料なのに広告を出していたこと」

ジーニーの答えは、こうでした。

「これは故障ではなくて、お金の話です」

なんでも、Akismet(アキスメット)という、スパムコメントを自動で捨ててくれるプラグインがあるのですが、その無料プランは「広告のないサイト専用」なのだそうです。

私のブログには、アフィリエイトの広告が入っています。つまりAkismetから見ると、私は「商用サイトのくせに無料プランを使っている人」。

三年近く、そんなこととは露知らず、ありがたく使わせてもらっていました。

■ 三つの道から、まん中を選ぶ

ジーニーは、道を三つ出してくれました。

A案、お金を払う。月に千円ちょっと。
B案、無料の日本製プラグインに乗り換える。
C案、いったん止めて様子を見る。

私が選んだのはB案です。

「Throws SPAM Away」という、名前だけ聞くと妙に強そうなプラグインがありまして、これは日本語が一文字も入っていないコメントを自動で捨ててくれるのだそうです。

スパムのほとんどは英語か中国語。だからこれだけで、九割方は止まる。しかも無料。

インストールして有効化。三分で終わりました。

さて、片付いた。コーヒーでも飲もう。

……そう思ったのが甘かったのです。

■ 蓋を開けたら、もう一つ入っていた

Akismetの赤い枠が消えたら、その下から別の警告が顔を出しました。

「Easy WP SMTP: 最近、メールの送信に失敗しました」

ここで、私の中の二人が言い争いを始めます。

見なかったことにするじいさん「今日はもう十分やった。明日でいいだろう」
気になって眠れないじいさん「いや、お問い合わせフォームからの連絡が届いてなかったらどうする」

……後者が勝ちました。だいたいいつも後者が勝つので、私は今日まで生きてきて、ずいぶん遠回りをしています。

■ テストメールは届いた。でも黄色い三角が

ジーニーに言われるまま、テストメールを一通送ってみました。

届きました。よかった。

ところが、メールの上に黄色い三角のマークがあって、こう書いてあります。

「このメールは認証情報のドメインとFromアドレスのドメインが一致していません」

何を言われているのか、さっぱりでした。

ジーニーの説明が、ようやく腑に落ちる例えでした。

「ブログのサーバーから送ったメールなのに、差出人の名前がヤフーのアドレスになっている。ヤフー側から見ると、うちの表札を勝手に使ってるぞ、という状態です」

なるほど。自分の家から出した手紙に、よその家の表札を貼っていた、と。

これだと、迷惑メールに振り分けられやすいのだそうです。

■ 表札を作りに、レンタルサーバーへ

ここからが本番でした。

ブログのドメインのアドレスを一つ作る。ConoHa WINGの管理画面へ行って、info@ではじまるアドレスを新しく作りました。

ここでちょっと笑ったのが、ジーニーの案内ミスです。

「設定ファイルをダウンロードしてください」と言われて押したら、出てきたのはiPhone専用のファイルでした。画面の下に、小さい字でこう書いてあります。

「WindowsやAndroid端末のメールソフトは非対応です」

ジーニーは即座に「これは私の見立て違いでした」と謝ってきました。潔い。人間だとこうはいきません。私も含めて。

結局、目当ての情報は、アドレスの名前を左クリックした先にありました。メールサーバーの名前。これを紙に書き写します。

大事なことは紙に書く。これは何歳になっても変わりません。というより、年を取るほど紙が増えます。

■ 入力欄を六つ埋める

WordPressに戻って、Easy WP SMTPという設定画面を開き、入力欄を上から埋めていきます。

サーバーの名前。暗号化はSSL。ポートは465。ユーザー名。パスワード。そして、差出人のアドレスをヤフーから、新しく作ったinfo@のほうへ書き換える。

六か所。手が震えるほどではないですが、一文字でも間違えると動かない世界です。

保存して、もう一度テストメール。

届きました。黄色い三角も、消えていました。表札が、自分の家のものになったのです。

■ 最後の伏兵、迷惑メールフォルダ

ところが、そのメールは受信箱ではなく、迷惑メールフォルダに入っていました。

理由は単純で、info@のアドレスは今日作ったばかりの新品。ヤフーから見れば「初めて見る差出人」です。しかも中身は画像入りの英語のメール。怪しまれて当然でした。

対処は簡単でした。メールを開いて、画面の上にある「迷惑メールではないと報告」を一回押すだけ。

これでヤフーに「この人は大丈夫」と教えられます。

もう一度テストを送ったら、今度はちゃんと受信箱に入っていました。緑のチェックマークと一緒に「おめでとうございます、テストメールが無事送信されました」。

パソコンの画面に「おめでとうございます」と言われたのは、久しぶりです。

■ ついでにDMARCまで

ここで終わってもよかったのですが、テスト画面に「DMARCが設定されていません」という警告がもう一つ出ていました。

DMARC。読み方はディーマーク。

これは「うちのドメインを名乗る偽メールがあったら、こう扱ってください」と、世界中のメールサーバーに向けて出しておく指示書のようなものだそうです。

設定しておくと、なりすましを防げるうえに、こちらのメールが迷惑メール扱いされにくくなる。

ConoHaのDNSという画面に、文字列を一行足すだけ。ただしこのDNSという場所、間違えるとブログそのものが表示されなくなることがあるらしく、ジーニーからも念を押されました。

「既存の十行には一切さわりません。もし途中で変わってしまったら、保存せずに閉じてください」

一行足して、入力した状態でスクショを送って、ジーニーに一文字ずつ照合してもらってから保存。

入力した文字の下に赤い波線が出てエラーかと焦りましたが、あれはブラウザが「知らない単語だな」と引いているだけの線でした。まぎらわしい。

■ 時計を見たら、十五時半

朝、コメント欄を開いたのが十時半でした。

一段落して時計を見たら、十五時半。五時間です。

やったことを並べると、こうなります。

スパム対策プラグインの乗り換え。メールアドレスの新規作成。メール送信の設定。ヤフー側の学習。なりすまし対策の宣言。

「これ、どうしたらいい?」の八文字から、よくもまあ、ここまで伸びたものです。

■ 今日いちばんの収穫

でも、この五時間で一つ、はっきり分かったことがあります。

管理画面に出てくる横長の帯には、三つの種類がある。

一つ目は、本物の警告。今日のAkismetやメールの失敗がこれです。放っておくと、本当に困ることになります。

二つ目は、広告。「使ってくれてありがとう、よかったらレビューを書いてね」というやつ。これは右端の小さな×で消して構いません。

三つ目は、勧誘。「ベータ版に参加しませんか」といった類い。これも押さなくていい。

私はこの三つを、全部同じ「なんか出てるな」として、何年も見て見ぬふりをしてきました。

見分けがつくようになると、ずいぶん気が楽になります。放っておいていいものと、いけないものが分かれるからです。

■ おわりに

正直に白状すると、こういう作業は、私一人ではまず無理でした。

用語が分からない。どのボタンを押せばいいのか分からない。押した先が正しいのかも分からない。

でも今日は、迷ったところでスクショを撮って送れば、その画面に合わせて「次の一手」だけを教えてもらえました。だから五時間かかっても、一度も詰まりませんでした。

分からないことを、分からないまま聞ける。

69歳がパソコンと付き合っていくうえで、これ以上ありがたい仕組みはないと思っています。

さて、コーヒーでも飲みます。今度こそ。

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