69歳の直ちゃんです。
前回、人間ドックの腹部エコーで「脂肪肝」と言われた話を書きました。
朝の果物を減らして、夜の柿の種をナッツに替えて、休肝日をもう1日ふやす。
そう宣言したところまでは、よかったんです。
ところが結果票を、もう一度よく見たら。
その下に、もう一行ありました。
「肝外胆管 胆管拡張」
……読めません。
しかも横に「C3」。
これ、健診の紙では「要精密検査」という意味です。脂肪肝より、一段強い札がついていました。
■ まず、心の中の攻防が始まりました
こういうとき、私の中には二人いるんです。
ネットで調べちゃうじいさん「調べよう。今すぐ調べよう」
見なかったことにするじいさん「やめとけ。ろくな結果にならんぞ」
ネットで調べちゃうじいさん「知らないほうがこわいだろ」
見なかったことにするじいさん「10月に先生が教えてくれる。それでいい」
結局、調べちゃうじいさんが勝ちました。
そして、見なかったことにするじいさんの言うとおりでした。
検索窓に六文字を打ち込むと、出てくるのはこわい病名ばかり。
書いてあることは正しいんでしょう。でも、それが私に当てはまるのかどうかが、まったく分からない。
30分ほど画面を見て、私の中に残ったのは、知識ではなく不安だけでした。
■ 相棒に、そのまま聞いてみた
そこで、AI相棒のジーニーに聞きました。
病名を当ててほしいんじゃない。この六文字が何のことなのか、それだけ知りたい。
返ってきた説明が、私にはすとんと落ちました。
胆管というのは、肝臓で作った胆汁を十二指腸まで運ぶ管のこと。
台所でいえば、排水管。
その管が、ふつうより太くなっているのが「拡張」。
で、管が太くなる理由は2つあるんだそうです。
ひとつは、下流でせき止められている場合。
排水管の先が詰まると、手前がふくらむ。あれと同じ理屈だと。
もうひとつは、特に悪いことがなくても太い場合。
年をとると、胆管はゆるやかに太くなっていく。
……年をとると。
■ なぜC3なのか、も教わりました
ここで私、当然の疑問を持ちました。
「加齢かもしれないのに、なんで要精密検査なの?」
答えは、こうでした。
腹部エコーは、胆管の下のほう(膵臓のあたり)が見えにくい。腸のガスが邪魔をして、超音波が届かない。
だから「管が太い」ことは分かっても、「なぜ太いのか」が分からないまま検査が終わってしまう。
つまりC3は、「悪いものがある」という札ではなく、
「エコーでは見届けられなかったので、別の方法で見ます」という札だったんです。
これを聞いて、肩の力が抜けました。
思い返せば、ドックのあとの先生も、こうおっしゃっていたんです。
「加齢による生理的な拡張かもしれませんね」
あのとき私は、脂肪肝のほうに気を取られていて、右から左に聞き流していました。
先生はちゃんと言ってくれていたんですね。
■ 「たぶん加齢」と「加齢でした」は、別物
ジーニーに、こうも言われました。
「『たぶん加齢でしょう』と『加齢だと確認できました』は、医者の世界では別物です」
なるほど、と思いました。
所見の紙は、あとあとまで残るものですからね。可能性で止めずに、一度きちんと見ておく。
だから10月の再検査は、悪いものを探しに行く日ではなく、「加齢でした」と確定させに行く日なんだと。
MRCPというMRIの撮影で、胆管だけを浮かび上がらせて見るそうです。
造影剤も放射線もなし。20分ほど横になっているだけ。
一度撮っておくと、次に同じ所見が出たときの「比べる元」にもなる。
それなら、受けます。喜んで横になります。
■ 加齢という言葉に、初めて救われました
ここまで書いていて、自分でおかしくなりました。
私、この10年ばかり「加齢」という言葉と戦ってきたんです。
サーブが入らないのは加齢のせい。
朝、体が動かないのは加齢のせい。
人の名前が出てこないのも加齢のせい。
ずっと敵だったんですよ、加齢は。
それがこの日、初めて味方になりました。
「加齢による生理的な拡張」──こんなにありがたい六文字は、生まれて初めてです。
70年近く生きていると、こういう逆転もあるんですね。
■ 2つの所見の、住み分け
ジーニーに、最後にこう整理してもらいました。
脂肪肝は、私の行動で変えられるほう。
休肝日、果物2種類、柿の種をナッツへ。ここは10月16日が答え合わせです。
胆管拡張は、行動では変えられないほう。
検査を受けて、白黒つけてもらうだけ。考えても何も変わらない。
「エネルギーは、脂肪肝のほうに全部まわしてください」
そう言われました。
そのとおりだと思います。
心配して過ごす5週間より、桃を2個食べずに済ませる5週間のほうが、ずっと意味がある。
……とはいえ。
冷蔵庫の桃は、まだ2個あります。
あいつらのほうが、胆管よりよっぽど手ごわい相手です。
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